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広島地方裁判所 昭和50年(わ)452号 判決 1979年5月17日

本店の所在地

広島県呉市朝日町八番一七号

法人の名称

東進商事株式会社

代表清算人の住居、氏名

広島県呉市阿賀中央六丁目八番一六号

村本勇

本籍

広島県呉市阿賀中央六丁目三、八三三番地

住居

同県安芸郡坂町三、三四三番地の一一

歯科技工士

村本宏

昭和七年一月一〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官杉本善三郎出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告会社東進商事株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人村本宏を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人村本宏に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告会社東進商事株式会社と被告人村本宏の平等負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社東進商事株式会社は、昭和四八年一一年三〇日までは広島県呉市中央五丁目一番三〇号に、同年一二月一日以後は同市朝日町八番一七号に本店を置き、宅地造成、土地建物売買及び仲介等の事業を営んでいたもの、被告人村本宏は、同会社の従業者で、同会社の業務全般を統括し、事実上その経営に当っていたものであるが、被告人村本宏は、同会社の業務に属し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和四六年六月一日から同四七年五月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額は六、八一二万四、九四六円で、これに対する法人税額は二、四七〇万九、八〇〇円であったのに、架空仕入、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和四七年七月三一日同市西中央二丁目一番二一号所在の呉税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四五〇万五、三四四円で、これに対する法人税額が一三四万七、五〇〇円である旨の所得金額を過少に記載した内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税二、三三六万二、三〇〇円を免れ、

第二  昭和四七年六月一日から同四八年五月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額は七、二六七万五、三六〇円で、これに対する法人税額は二、六四四万五、五〇〇円であつたのに、売上の一部を除外し、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和四八年七月三一日前記呉税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が三一四万八四円である旨の所得金額を過少に記載した内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税二、六四四万五、五〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき、

一、被告人村本宏の当公判廷における供述

一、第一回公判調書中の被告会社代表清算人村本勇及び被告人村本宏の各供述部分

一、被告人村本宏の検察官に対する各供述調書(昭和五〇年七月一八日付、同月一九日付、同月二三日付(前綴分))

一、被告人村本宏の大蔵事務官に対する各質問てん末書(昭和四九年五月二二日付、同月二三日付、同月三一日付、同年九月九日付、同年一一月一四日付、同月二一日付、昭和五〇年三月二五日付)

一、被告人村本宏作成の各上申書(昭和四九年一一月二八日付、同五〇年三日一一日付、同月二二日付(三通)同月二四日付、同年四月一九日付、同年五月一日付(後綴分))

一、村本勇の大蔵事務官に対する各質問てん末書(昭和四九年五月二一日付、同月二四日付)及び同人作成の答申書

一、第四回公判調書中の証人橋田恵美子の供述部分

一、第五回公判調書中の証人島川範俊の供述部分

一、第六回公判調書中の証人岸保御代子、同国司智洋の各供述部分

一、第七回公判調書中の証人渡辺隆、同岡田周三、同松田憲磨の各供述部分

一、第九回公判調書中の証人本田清己、同広沢民二の各供述部分

一、第一〇回公判調書中の証人平野稔、同奥田幸子の各供述部分

一、第一二回公判調書中の証人加地歌彦の供述部分

一、第一三回公判調書中の証人加藤秀貴の供述部分

一、飛田秀子、橋本トキノの検察官に対する各供述調書

一、山本善一の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、竹内弘之作成の各答申書(昭和四九年五月二四日付、同五〇年三月一八日付)

一、大蔵事務官松田憲磨作成の各調査事績報告書(昭和五〇年三月八日付、同月三一日付)

一、呉農業協同組合組合長浅沼義人(昭和四九年五月二五日付)、坂町農業協同組合長中村富士登(同月二二日付)、株式会社西日本相互銀行呉支店長戸田隆夫、呉中央信用金庫本店長横手孝(二通)、株式会社住友銀行呉支店長森本淳(二通)、株式会社三和銀行田辺支店長渋谷尚男各作成の各証明書

一、呉税務署長作成の青色申告の承認の取消通知書謄本

一、広島法務局呉支局登記官作成の登記簿謄本(昭和五〇年六月二六日付)

一、押収してある法人税決議書綴一綴(昭和五一年押第一二号の1)、総勘定元帳三綴(同号の2ないし4)、元帳一綴(同号の5)、振替伝票綴三七綴(同号の6ないし42)、第六期決算関係資料一綴(同号の43)、国税調査関係資料一綴(同号の44)、領収書綴三綴(同号の46ないし48)、借入金帳一冊(同号の49)、土地買入契約証書綴一綴(同号の50)、契約書入封筒一袋(同号の52)、大多田土地関係書綴一綴(同号の53)、土地売買契約証書一枚(同号の54)、昭和四八年分譲渡所得納税相談、申告審理事績書綴一綴(同号55)

判示第一の事実につき、

一、被告人村本宏の大蔵事務官に対する各質問てん末書(昭和四九年一一月一九日付、同五〇年四月一九日付)

一、被告人村本宏作成の上申書(昭和五〇年五月一日付(前綴分))

一、瀬川利治の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書

一、松森明の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、武本こと姜晴雄、小川末博の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官今村四郎作成の調査事績報告書

一、大蔵事務官加藤秀貴作成の各調査事績報告書(同年三月一二日付、同年四月一日付)

一、呉農業協同組合組合長浅沼義人作成の証明書(同年二月一四日付)

一、神戸地方法務局出石出張所登記官作成の登記簿謄本二通

判示第二の事実につき、

一、被告人村本宏の検察官に対する供述調書(同年七月二四日(後綴分))

一、被告人年本宏の大蔵事務官に対する質問てん末書(同年二月二四日付)

一、被告人作成の各上申書(昭和四九年一一月二五日付、同年一二月一六日付、同五〇年三月七日付、同年四月一一四日付)

一、吉田吉次、山口久雄、山口精、五反田晃の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、村本義明の検察官に対する供述調書

一、藤本進、東正喜、番匠谷隆、菊地敏晃、小池博各作成の各答申書

一、第一二回公判調書中の証人松下秀吉の供述部分

一、大蔵事務官加藤秀貴作成の調査事績報告書(昭和四九年一一月一〇日付)

一、坂町農業協同組合組合長中村富士登作成の証明書(同年五月二九日付)

一、広島法務局安浦出張所登記官作成簿謄本八通及び同法務局竹原支局登記官作成の登記簿謄本一三通

一、押収してある大東関係書類入封筒一袋(前同号の45)、確認書、図面各一枚入封筒一袋(同号の51)

(法令の適用)

被告会社に対し、

判示各所為につき、

法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合罪につき

刑法四五条前段、四八条二項

被告人村本宏に対し、

判示各所為につき、

法人税法一五九条一項(いずれも懲役刑を選択)

併合罪の加重につき、

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)

刑の執行猶予につき、

同法二五条一項

被告会社及び被告人村本宏に対し、

訴訟費用の負担につき、

刑事訴訟法一八一条一項本文

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 久安弘一)

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